構想半年!ついに完成したObsidian 550D VS Carbide 330R 実用性と性能を徹底検証!

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前回の記事の掲載が10月だったので都合半年近くの間が空いてしまったが、ズルズルと執筆を先送りにしてしまったことを読者の方とリンクスインターナショナルのみなさんにまず謝罪します。申し訳ありません。別件の作業が……という言いわけを聞いていただきズルズルと締め切りを延ばしてくれたSさん、ありがとうございます。

さて、そんな謝罪からスタートとなってしまった今回の記事だが、前回のPCケースの記事は、読者の方に一定の支持をいただいたと担当者の方からうかがった。そこで次回もケースに関するお話をとご依頼をいただいていたため、今回と次の記事もPCケースのお話をして行こうと思う。

今回取り上げるPCケースはCorsairの人気ケースObsidian 550DとCarbide 330Rの2製品。この2製品を徹底比較していこう。題して「Obsidian 550D VS Carbide 330R 実用性と性能を徹底検証!」だ。


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Obsidian 550D
Corsairの人気ロングセラーミドルタワーPCケース、Obsidian550D。静音性と冷却性能をユーザーがコントロールできるバランス型のPCケースで実売は15,000円前後。

Carbide 330R
Carbide 330RはObsidian 550Dを一回り小さくしたタイプの製品。シリーズは違うが製品の方向性は似かよっており、その外見にもどことなく共通点がある。実売価格は11,000円前後。

いきなり始まったPCケース対決。どうやって優劣を決める?

いきなり始まったこのPCケース対決だが、実のところ550Dと330Rはかなり似かよった方向性のPCケースだ。どちらの製品にも言えるその特徴、それは、ユーザーの好みに合わせて静音性重視にも冷却能力重視にもどちらにも対応できること。これにつきるだろう。しかし550Dと330Rの市場での実売価格は、それぞれ15,000円前後、11,000円前後と4,000円程度の差がある。どうしても550Dのほうが有利になりそうな部分はあるものの330Rが550Dにどれだけ肉薄できるのかというのが勝負のカギとなりそうだ。今回、PCケース対決ということだが、実際には筆者としてはどちらが優れているかという結論を出すことはしない。両製品の機能や性能を詳しく検証して、どこが違うのか、どれだけの性能差があるのかを解説し、その結果をポイントとしてまとめることにする。そのまとめを読んでいただき、どちらのケースが自分に合っているのか。それを読者の方に決めてほしい。PCケースを比較する内容としてはいくつかのファクターがあるが、まずは数値などで確認できるスペック上の拡張性を見ていこう。

●ポイント
・価格は330Rのほうが4,000円ほど安価

数字で見る拡張性。何をどれだけ搭載できるかチェック!

最初に下の表を見てほしい。この表は3.5インチや2.5インチのベイや取り付け可能なファンなどのスペックを示したものだ。


まず、ベイや拡張スロットの数、ファンの搭載可能個数や搭載済みのファンの数などを見比べた場合、基本的に550Dのほうが優れていることが分かる。唯一明確に330Rが優れているのが対応フォームファクターで、550DがATXまでなのに対し、330Dでは条件付きながらもExtendedATXに対応している。これは、ハイエンドのオーバークロッカー向けの一部の製品に採用されているフォームファクター向けの対応だ。もちろん、サイズを見ると、550Dのほうが330Rよりも幅も奥行きも高さもほんの少しほど大きい。たったこれだけのサイズの違いでスペック上の数値としては、さまざまな部分で550Dに軍配が上がる。ただし、数値や対応フォームファクターに関して言えば、あくまでもスペック上でみた結果だ。

550Dの内部
550Dは330Rよりも一回り大きいものの、内部はストレージ用のケージが多いため、少しスペースが小さく感じる。ただし、写真右側の真ん中にある3.5/2.5インチシャドーベイを取り外せば、ロングサイズの拡張カードも搭載可能な上、メンテナンス性を向上させる効果もある。

330Rの内部
330Rのケージは取り外しができないが、ビデオカードの設置場所は広く開いているため、長いビデオカードでも問題なく搭載できる。メンテナンス性も高く作業はしやすい。

上の写真を見てほしい。これは、550Dと330Rのサイドパネルを外して内部を見たところだ。実際のところ、550Dと比較して330Rの内部には余裕がある。とくに目立つのは550Dにはない、5インチベイと3.5/2.5インチシャドーベイの間の隙間が330Rでは大きくとられているところだ。550Dの3.5/2.5インチシャドーベイは二つのケージにより構成されており、一つのケージで三つのストレージを搭載することが可能だ。

しかし、二つのケージを利用する場合、実測値で33cmまでのカード長の拡張カードしか搭載できない。実際のところ33cmあれば、ビデオカードを含めたほとんどの拡張カードが搭載可能だ。たとえば、AMDのRadeon R9 290Xのリファレンスカードの長さは275mmとなっている。しかし、なかには規格外とも言えるような33cmを超える拡張カードが存在しているのも事実で、550Dのケージを一つ取り外さなければならない場合も出てくるかもしれない。この場合は、3.5/2.5インチシャドーベイの数は三つとなる。

また、メンテナンス性の問題もある。実のところ、330Rのほうが隙間がある分、ビデオカードの接続やPCI Express用電源の配線、Serial ATAのケーブルの取り回しなど、ケース内での作業が行ないやすいのだ。この点も、550Dはケージを一つ取り外すことでかなりメンテナンス性が向上する。もちろん、この場合も使用できる3.5/2.5インチシャドーベイの数は三つに減少する。

550Dのストレージ用ケージ
550Dの中断にあるケージは手回しネジを外すことで抜き取ることができる。3.5/2.5インチシャドーベイの数は六つから三つに減ってしまう。しかし、33cm以上のロングサイズの拡張カードを利用する場合や、メンテナンス性を高めたい場合には有効な構造だ。

ちなみに、拡張スロットの数は330Rが七つなのに対し、550Dが八つとなっているが、この点についてはほとんど意味がないと思ってよい。これは、次に挙げる550Dが対応しているフォームファクターに関連する問題の一つだ。550Dに対応しているATXフォームファクターのマザーボードの場合、一番下の八つ目の拡張スロット部分にインターフェースがある製品がない。この一番下の拡張スロットの位置は、マザーボードの下の端よりもさらに下になるためだ。マザーボード上のUSBなどのピンヘッダを拡張スロットにセットするブラケットなどもあるが、拡張スロットをすべて使用している状態にはほとんどならないため、必ずしも8番目の空きスロットが必要というシチュエーションにお目にかかることは、まずめったにないだろう。

次に対応フォームファクターの違いについてだ。330DはExtendedATXに対応しているのに、ボディが一回り大きい550Dが対応していないのは疑問を抱く部分だろう。これにはしっかりとした理由がある。まず、物理的な部分で550Dのマザーボードベースの形状に問題がある。

550Dのマザーボード設置位置は、その右側や下の裏面配線用の穴があいているところよりも少し奥側にへこんだ形になっている。スペーサによって少し設置面よりも浮いた位置に配置されるが、ATXよりも大きなサイズのマザーボードの場合、右下の丸みを帯びたカーブの部分に、マザーボードの右下の角がぶつかってしまうのだ。このため、対応フォームファクターはATXとなっている。ここからは筆者の推測になるが、550Dが発売されたのは2012年の3月。すでに発売から2年が経過しているロングセラーモデルだ。逆に330Rは2013年7月に発売になってから、まだ1年もたっていない。330Rは550Dの弟分とも言えるくらいに似かよった方向性のPCケースだ。550Dはロングセラーモデルゆえにいまだ店頭に並んでいるが、後発の330Rでは、550Dの唯一の死角とも言えるべきExtendedATXに対応してきたのではという予想もできる。

もう一つ330Rにアドバンテージがあるとしたら購入時に搭載しているファンの違いだろう。こちらも世代によるトレンドの違いなのだが、2013年後半辺りから、PCケースに搭載されるファンは、12cm角から14cm角に変わりつつある。最近発売されているミドルタワーのPCケースは、14cm角ファンが搭載されていることが非常に多い。当然、14cm角ファンのほうが大きいため、騒音を抑えることができる。330Rはこの14cm角ファンをフロントに搭載しており、12cm角ファンを二つフロントに搭載している550Dよりも騒音が小さい可能性がある。また、少し気になるのは330Rの14cm角ファンはビデオカードには風を当てられるものの3.5/2.5インチシャドーベイの位置には風が当たらない。シャドーベイ部分にファンを搭載することは可能だが、これはオプションとなる。そして、550Dはフロントに二つのファンが最初から搭載されており、二つのケージに風が当たる位置だ。この辺りは後述の冷却能力の検証をご覧になってほしい。

かけ値なしに550Dの素晴らしい点は、搭載できるファンの数が多いことだろう。フロントに14cm角ファンは搭載できないものの、フロント、リア、トップと330Rに搭載可能な位置には同数のファンを取り付けることができる。左サイドやボトム、さらに個々のシャドーベイのケージへの設置も可能で合計のファンの上限は、330Rの五つに対して550Dは10個。14/12cm角ファン二つとの排他にはなるが、20cm径ファンという大型ファンの取り付けもできる。この豊富なファンマウントは、別途ファンを購入して冷却能力を向上させたいと考えているユーザーにとっては、非常にうれしい部分だ。

330Rのフロントファン
330Rのフロントには昨今のPCケースのトレンドに倣って14cm角ファンが最初から搭載されている。外してあるのは後述の簡単に付け外しができる防塵フィルタ

550Dの左サイドパネル
550Dのサイドパネルには14/12cm角ファン×2または20cm径のファンを一つ搭載できる。多数のファンを搭載できるため、冷却重視のユーザーにはポイントが高いだろう。

●ポイント
・ベイの数は550Dのほうが有利だが、330Rで事足りるなら、330Rのほうがメンテナンス性は高い。550Dは3.5/2.5インチシャドーベイの数が三つでよいなら、33cm超の拡張カードを利用したり、メンテナンス性を高めたりすることができる。

・330Rはサイズが限定されるもののExtendedATXフォームファクターのマザーボードが利用可能。

・オプションファンの購入による冷却能力をメインに考えるのなら550Dの圧倒的な搭載可能なファンの数は魅力的。標準搭載のファンも330Rよりも一つ多い。


デザインや使い勝手など、スペックやベンチマークに出ない特徴もチェック

次にチェックしていくのがスペックだけでは分からないデザインや使い勝手の部分だ。もちろん見た目のデザインは好みの部分が分かれるところ。ここでのデザインとは、機能的な部分についてのデザインについて見ていこう。

たとえば、前述のPCケース内の写真で550Dの3.5/2.5インチシャドーベイは取り外しが可能であることを説明したが、このような使い勝手におけるデザインだ。もちろん、330Rのケージは取り外して使うような構造にはなっておらず、拡張性の柔軟さにおいて、550Dが優れていることが分かるだろう。

また、上の写真を見て気が付いた読者もいるかもしれないが、550Dには裏面配線用の穴に付いている配線を傷付けないためのゴム製のカバーが330Rにはない。330Rは裏側に鉄板を丸めることで、配線が傷付かないようにしているが、この辺りのコストのかけ方は価格差として出ている部分だろう。

ただし、全体的に見た機能面は共通する部分が多い、たとえば最近のPCケースのトレンドであるメンテナンスホールだ。メンテナンスホールとはCPUのキャパシタ部分に相当する部分を大きく開けておくことで、マザーボードがPCケースに取り付けられていてもバックプレートなどを利用するCPUクーラーの取り付けや取り外しができるようになっている穴だ。550D、330Rともに大きく開いており、ほとんどのマザーボードで利用が可能だろう。

550Dのメンテナンスホール
メンテナンスホールは大きいと強度の問題が出てくるため、厚めのシャーシを使わなければこれだけ大きな穴を用意することができない。実際これだけ大きなメンテナンスホールがあっても、マザーボードベースのグラつきは起きない。

330Rのメンテナンスホール1
330Rにもメンテナンスホールが用意されている。550Dと比較すると少し上の部分が切り込んでいる分ホールが大きいようだ。550D同様、強度も申し分ない。後述するが、裏面配線のスペースは、550Dよりも330Rのほうが広く、配線が行ないやすい。

330Rのメンテナンスホール2
330Rへ実際のマザーボードを装着したところを裏から見ると画像のようになる。写真のバックプレートはEnermaxのETD-T60TD-TB。バックプレート全体が露出しているので、マザーボードベースにマザーボードが装着されたままでも、CPUクーラーの取り外しや交換が可能だ。

ドライバーレスで作業ができるような工夫も多い。手回しネジをふんだんに採用した作りや、5インチベイアイテムの取り付け、取り外しを簡単に行なえるロック機構などが挙げられる。550Dも330Rも、2.5インチストレージ、マザーボード、電源の取り付けはドライバーが必要になってしまうが、それ以外で特別なツールを使わなければならない場所はない。

330Rの5インチベイ
3.5/2.5インチシャドーベイのトレイは、SSDを真ん中に配置できたり、レール部分が防振ゴムでできていたりして、550Dと比較して微妙にバージョンアップしているようだ。しかし、2.5インチドライブを取り付ける際、ネジどめが必要になるのが共通している。

330Rのストレージ用ケージ
330Rと550Dのかなりの部分がドライバーレスで作業を行なえる。レールを左右にスライドさせることで、付け外しを行なうことができる構造で、5インチ部分は550Dも共通だ。

天板部分のファンマウントに静音性重視の場合を考えて、カバーが取り付けられているのも共通の部分だ。550Dにはさらにサイドパネルにもファンが取り付けられるが、こちらもカバーが取り付けられている。トップのファンマウントは両機とも14/12cm角ファンが二つ取り付けられるようになっており、同社が販売している簡易水冷クーラーの24cmタイプや28cmタイプのラジエータを取り付けることが可能だ。

しかし、差異がある部分もいくつか見受けられる。たとえば前述した大型ラジエータであるが、330Rは550Dに比べてマザーボードの上端から天板までの距離が短い。このため、マザーボードによっては簡易水冷クーラーの標準のファンを取り付けられない場合がある。扉やサイドパネル、カバーなどに取り付けられた吸音シートもそうだ。基本的には330Rも550Dも扉、サイドパネル、カバーの部分などに吸音シートが張り付けられている。しかし、PCケースと電源の間に挟むように付いている防振シートは550Dにしか付いていない。

また、ファンの吸気部分に取り付けられた防塵フィルタにも違いがある。ファンの吸気位置となるフロントやボトムには、550D、330Rともに、防塵フィルタが取り付けられている。両方ともマグネット付きのフィルタやワンタッチレバー、レール式などを採用しており、取り外しや取り付けも簡単でメンテナンスが楽になっている。しかし、550Dのトップパネルにはある防塵フィルタが330Rにはない。550Dは左のサイドパネルを含め、リアの排気用ファンの位置以外にすべて防塵フィルタが用意されている。これは天板部分にファンを取り付ける場合は、上方排気で利用することが多いからかもしれないが、それでも最初から付いている550Dと比較すると、330Rのコスト部分の兼ね合いと考えてしまう。

330Rのトップカバー
330Rにもトップカバーが用意されているが、防塵フィルタはない。

550Dのサイドパネルのカバー
550Dにはサイドパネルのファンマウントにもカバーが用意されている。防塵フィルタも完備だ。

また、ドライバーレスで作業できるのは共通だが、550Dのサイドパネルはボタンを押すことであけることができるのに対し、330Rは手回しネジ採用だ。550Dの場合、扉を閉める際には、サイドパネルを当てて、軽く押し込んで上げれば勝手にロックがかかる。

550Dのリアにあるボタン
550Dの背面には左右に一つずつボタンが用意されており、押すとカバーが開くようになっている。PCケースの手前側からサイドパネルを開ける場合に手早くできて便利だ。

背面に用意された水冷ホールにしても違いがあり、数は四つと同じだが、550Dは最初から穴が用意されており、ゴム製のカバーも取り付けられている。一方330Rは自分で穴の部分の金属板を切り離さなければならない。ゴムのカバーも用意されていないので、きれいにバリを取って上げなくては、クーラント用のチューブに傷が付きそうだ。

550Dの水冷用ホール
550Dの水冷用ホールは最初から穴があいていて、ゴムのカバーも付けられている。ゴムカバーはフタの意味合いも兼ねており、エアフローの漏れを防いでくれる上、水冷用チューブを傷付けることがない。

330Rの水冷用ホール
330Rにも水冷チューブ用の穴が用意されているが、自分でニッパーなどを使って切り取った後、バリ取りの処理をしなくてはいけない。

フロント部分の扉はフロントファンなどから出る騒音を軽減する働きがあり、さらに5インチベイなどを隠すデザイン要素も兼ねている。550D、330Rともにフロントインターフェースを隠すことがないように設計された扉で、利便性を損なうこともほとんどない。必要なければ取り外すことができるのも、共通だ。しかし、この扉には好き嫌いが分かれる部分も含め、いくつか大きく異なるところがある。

まず一つは素材だ。550Dは高級感のある金属製。ヘアライン加工が施されており、重厚感がある。330Rの扉もヘアライン加工が施された落ち着いた感じの作りだが、プラスチックであることは触ってみれば誰でも分かることだ。また、550D、330Rともに防音効果を高めるために、サイドパネルや先に書いたファンマウント用のカバーなど、いたるところに吸音素材が使われており、扉にも施されている。しかし、550Dの扉は開いてからさらにファンには二つ目の遮音用と思われるカバーが付いているが、330Rは直接防塵フィルタにアクセスすることになる。

ちなみに扉の開閉だが、550D、330Rともに左右どちらにも開閉が可能だ。しかし、550Dはとくに何もしなくても左右どちらにも開閉を行なうことができるが、330Rは蝶つがい部分にロックを施す形になっており、支点をどちらかに限定して使用することになる。どっちにも開いたほうが便利に感じるかもしれないが、筆者が乱暴なせいか、550Dの扉を開閉するときに変な力の入れ方をしてしまい扉が脱落してしまうことがある。330Rは蝶つがいがロックされており、簡単には脱落しない仕組だ。使い方の問題になるが、筆者としてはこの点は330Rのほうが優れていると感じる。

550Dの扉
550Dの扉は金属製で見た目は330Rよりも高級感がある。構造的にも左右どちらにでも開閉できる。フロントファンにはもう1枚カバーが付いており、静音性の高さをうかがわせる作りだ。ドアの裏に見える遮音シートはケースのサイドパネルにも採用されている。

330Rの扉
330Rの扉は左右どちらかを決めて蝶つがいを固定して使用するため脱落することがない。330Rもサイドパネルに遮音シートが貼られているが、扉の中のファンの部分はネットが見えており、550Dのようなカバーはない。

ここまでは共通点と550Dの優位性について多く書いてきたと思うが、このように、550Dよりも後発の330Rのほうが便利に感じる部分もある。その最たる例が裏面配線だ。550Dも330Rも裏面配線には対応しているが、その裏面配線用の隙間の広さが違うのだ。具体的には、マザーボードのマウント部分からサイドパネルまでの隙間は、330Rでは2cmあるが、550Dでは1cmほどしかない。EPS12Vなど、ちょっと太めのケーブルを配線しようとすると、下手なやり方をした場合、右のサイドパネルがうまく閉まらなかったり、閉まってもサイドパネルが膨らんだりしてしまう。この点に関しては330Rのほうが確実に優れている。

●ポイント
・裏面配線やメンテナンスホール、防音性を高める扉のほか、ファンマウントのカバー、防塵フィルタ、ドライバーレス機構など、基本的な部分は550Dも330Rも備えているが、330Rはところどころにコストダウンの跡がうかがえる。

・扉の構造に関しては好みが分かれるところだが、筆者は330Rのほうが優れていると感じる。しかし質感は550Dのほうがよい。

・裏面配線に限って言えば550Dよりも330Rのほうがスペースは確保されておりケーブルの取り回しがしやすい。

PCパーツを一式組み込み冷却能力と静音性をチェック

それでは、実際にPCパーツを一式組み込んで動作させ、冷却性能や静音性を比較してみよう。想定したのは、3Dゲームをある程度やり込むPCゲーマーの自作PC。スペックは高めで、ケースのサイズから今後の拡張性を考慮し、Intel Z87チップセットを採用したLGA1150プラットフォームのマザーボードを選択した。3Dゲーマーということで、OSを入れるストレージはSSD、大容量データも扱えるようにHDDも搭載する。もちろんビデオカードもアッパーミドルのゲーマー向けのものを選択した。実際に使用したパーツは以下のとおりだ。

CPU:Intel Core i7-4770K
マザーボード:ASUS Z87-PRO
メモリ:Corsair VENGEANCE CMZ8GX3M2A1866C9(PC3-14900 DDR3 SDRAM、4GB×2、DDR3-1600で使用)
ビデオカード:Gainward PHANTOM 2048M GDDR5 2256B DUAL-DVI HDMI DP(NVIDIA
GeForce GTX 760)
SSD:Philips & Lite-On Digital Solutions PLEXTOR PX-512M5P(Serial ATA
6G、MLC、512GB)
HDD:Western Digital WD Black WD4001FAEX(Serial ATA 6G、7,200rpm、4TB)
電源:Corsair AX760i(760W)
CPUクーラー:Enermax ETD-T60-TB
OS:Windows 8.1 Pro 64bit版

計測はHWMonitorとOCCTというPCにインストールして使用するソフトウェアとNoiseMeterというAndroidアプリを使用して行なう。温度の計測はHWMonitorでCPUとビデオカード、HDDを、騒音の測定はPCケースの正面で距離10cm、高さ20cmの位置でNoiseMeterを使って行なう。アイドル状態と負荷状態での違いを調べるため、OCCTのPower Supply Testを10分間行ない、そのときの最大値を負荷時としている。アイドル状態はPCの電源を入れてから1時間後の状態だ。なお、HDDの設置は3.5/2.5インチシャドーベイに行なうが、550Dでは下のケージにSSDとHDDを装着し、取り外しのできるストレージのケージを外して、フロントファンの風がビデオカードに届きやすいようにした。550Dに有利な状態になるが、このハードウェア構成では、このように組み込みを行なうのが妥当だと判断したからだ。では結果を見てみよう。


騒音値の結果だけを見た場合、ほとんど差はないように思える。実際、耳で聞いた範囲では、ほとんど違いが分からない。筆者としてこの結果から推測してみると、フロントパネルの前で騒音を計測しているため、フロントファンとフロントパネル部分の作りの影響が大きいからだと思われる。550Dには二つの12cm角ファンが搭載されており、330Rの14cm角ファン一つよりも騒音の音源としては大きいはずだ。ただし、550Dには二重とも言える扉とファンのカバーがあり、そこで音が小さくなっているものと思われる。負荷が高い状態では、ファンの回転速度が高くなるため、二重のカバーがあっても12cm角ファン二つのほうが、14cm角ファン一つよりも騒音が大きくなってしまったのではないだろうか。どちらにしても数値から考えると、大きな違いはあまりない。

逆に、大きく差が出ているのが温度だ。アイドル時、負荷時ともに、すべて550Dのほうが冷却能力において勝っている。とくに、OCCTの影響をほとんど受けないHDDに関しては、アイドル時も負荷時も同じ数値が出ているが、550Dと330Rでは、5℃も違う。これは、HDDの設置位置に直接ファンの風が当たるように、標準ファンが配置されているからだ。また、ファンの総数から考えて、総合的な風量が多いため、すべての温度計測において、550Dのほうが勝っているのだと考えられる。アイドル時や負荷時の温度が低いということは、それだけ故障などに遭遇する確率が低いということだ。基本的にPCのパーツの故障は、熱でコンデンサなどが壊れることに起因するものがほとんどだ。とくにHDDにとってのこの温度差は大きい。SSDやHDDはほかのパーツと違って壊れたから交換したからもとどおりになるというものではない。大事なデータも一緒に消えてしまう。もちろん日々のバックアップは必要だが、故障の確立が低くなるのは歓迎だ。330Rを選択するならこの点を頭の隅に入れておき、ファンの位置を移動したり、余っていたり安価で売っていたりするファンを用意して、ストレージに風が当たるように追加するとよいかもしれない。

●ポイント
・騒音値の結果には大きな差が出なかった。

・一方購入したままの状態での冷却能力は550Dのほうが高い。とくにストレージ部分の冷却が行なえる構造というのが550Dの強み。

Obsidian 550DとCarbide 330R。君ならどちらを選ぶ?

さて、ここまで記事を読んでいただいて、550Dと330Rの違いについて分かっていただけただろうか。いろいろな視点で製品をチェックしてきたが、やはり全体的な完成度は330Rよりも550Dのほうが高いように思える。しかし、市場での価格差があるのも事実だ。もちろん、330Rも精度の高い人気ケースを数多く輩出しているCorsair製ということもあり、基本部分はしっかりと作り込まれている。少しだけ機能が高い、少しだけデザインがよい、少しだけ冷却性能が高い。この少しだけの積み重ねでこの価格差に納得できるのなら、そんな読者の方には550Dをお勧めしたい。そして、その程度の違いであれば許容範囲だと納得できるのなら、330Rがお勧めだ。読者のみなさまは、Obsidian550DとCarbide 330R、いったいどちらの製品を選ぶのだろうか。

CORSAIR 550D 製品情報
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ライター:山本倫弘
1973年静岡生まれ。システム開発会社に入社し、プログラマー、システムエンジニアを経て雑誌編集に。現在はフリーライターとして独立。雑誌や書籍、WebといったPC系媒体を中心に、編集、Webデザイン、プログラム、SEをマルチにこなす。主な著書に『[高速&安全] RAIDの仕組み・設定・カスタマイズ』(技術評論社)などがある。


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