PCケースはこう選べ! できるケースはココが違う!?

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このたび、リンクスインターナショナル様からライターである私、山本に記事数回分の貴重なスペースをお預かりさせていただくことになった。

内容は好きに書いて構わないということだったので、筆者のPCに対する思い入れと同時に、PC関連で役立つ情報を発信できればと思う。

そこで、第一回のこの記事では上にあるタイトルどおり、PCケースに関するお話を書いていこう。読者の方のPCケース選びの参考になれば幸いだ。

筆者のPC遍歴、ケース編

筆者の経歴やPC遍歴と言っても、それほど特殊なものではないが簡単に……。筆者は将来、PCを使った仕事に就きたいと漠然と思っており、専門学校卒業後にソフトウェア開発を行なっている中堅会社に入社。その後友人の誘いで編集業を経てフリーライターに転向したという経緯がある。

筆者にとっての最初のPCは、高校卒業時に両親に購入してもらったPC-9801だった。当時はまだ、DOS/V(OS)が動くPC/AT機が主流ではなく、NECのPC-9801全盛期。HDDは20MB(メガですよ~。ギガじゃないです)でウン万という時代だった。PC-9801を購入してもらう以前から、友人にPC-8801を触らせてもらったり、MSXという、PCの中では安価な製品を貸してもらったりということがあったが、それがPCに興味を持つきっかけだったのは間違いないだろう。

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その後、就職祝いとして両親に(高価だったため、車を買ってもらう代わりに)購入してもらったAppleのMacを入手。就職後にはDOS/VやWindows 95が動いているPC/AT互換機を会社で使用することになったため、初めてのPC自作を行なった。

さて、前置きが長くなったが、筆者はここで初めてPC自作用のPCケースを購入することになる。購入したCPUとマザーボードはIntel Celeron 266MHzとASUSのATXフォームファクターのP2B。これが収まり、なおかつ電源付きの安い製品を探したところ、5,000円足らずのよく分からないメーカーのPCケースを購入することができた。このケースは割とコンパクトでCPU部分の上に電源が配置されるという現在では考えられないレイアウトではあった。しかし、当時のSlot 1という(Celeronは基板むき出しだったが)ファミコンのカセットのような形状のCPUは、CPU側面にクーラーが付いており、高さはそれほどでもなかったため問題はなかった。後から友人にもらったThunderbirdと呼ばれるAthlonでは、今と同じようなパッケージで、CPUの上にクーラーがくるレイアウトだったが、電源とクーラーの隙間がわずか5mmほどという状態になるものの、なんとかケース内に収まった。このため、最初に購入したケースはずい分と長く利用したものだ。このPCケースはCore 2 Duo E6850を購入するまで、約10年ほど利用していたことになる。

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そして、上記のCore 2 Duoの購入を機に、新たな自作PCを製作。その際に購入したPCケースが、Lian LiのPC-101Bだ。PC-101Bはフルアルミ製で当時の実売価格は25,000円前後。電源も搭載されていないのにこの価格である。PCケースにお金をかけたことがなかった筆者にとっては高価な製品だ。

筆者がPC自作を始めてから10年。PCパーツの事情はずい分と変わっていた。CPUやGPUなど大電力を消費し、発熱の大きなパーツが増加。熱により寿命の短くなるパーツ。パーツの規格の更新によるマザーボード上のレイアウトの変更。発熱の増大に起因するPCケースの冷却能力の向上。とくにPCケースは、アイボリーカラーでプラスチック製一辺倒のデザインが、性能の上昇や差別化によって大きく変わっていた。そんな経緯もあり、筆者はPCケースもよいものをと考えるようになったのだ。ほかの要素として、社会人となって10年以上が経ち、結婚も考えずにブラブラしていたため(無計画に散財していただけという見方もできるが)、ある程度自由になるお金があったというのもある。

PC-101Bはちょっと特殊で、通常はPCケース正面から見た場合、右側面にマザーボードを取り付けるが、このPCケースでは左側面に取り付ける構造だった。マザーボードは上下が逆のレイアウトになるため、後ろから見ると上にPCIなどの拡張スロット、下にバックパネルという配置になる。

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このPCケースを買ったのは、自宅のPCを置く場所が机の左側の壁の横で、メンテナンス時にケース左側をあけるためには、PC自体を動かさなくてはならなかったためだ。また、フルアルミ製の筺体だけでなく、標準で三つ搭載された12cm角ファン、電源とストレージスペースをマザーボードとは別区画に配置しエアフローの制御を行ないやすくするなどの工夫がなされている。このため冷却能力が高くよく冷えるPCケースとしても定評があった。

ただ、よいことばかりではない。電源のスペースが狭く、奥行きの小さな製品でなければ、ケース内に電源が収まらないのだ。無計画な自分は、サイズの合わない電源を購入してしまった。客先でいらなくなったものをいただくまでの間、PCケースから電源が少し外に飛び出した状態で使用することになっていたのも今となってはよい思い出だ。

このPCケースもかなり長く使用している。IntelのCore i7-2700Kを購入するまでの間、5年近くメインPCとしてわが家で活躍しており、現在でも同居人のPCケースとして現役を続けている。

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現在、原稿書きなどの仕事用のPCで使用しているPCケースはCooler MasterのSilencio 550。静音性に優れるが、ケース内がやや狭い。筆者の普段の仕事上のテストには向かないが、ファンも増設してそれなりに冷却力もある。実のところ、Core i7-2700Kを購入した直後、仕事用のPCはCorsairのObsidian 550Dを利用していたが、ケース内が広いため、パーツの取り付けや取り外しがしやすく、テストで重宝する。最近ではもっぱら製品テストに使用するPCケースがObsidian 550Dで、仕事用のPCはSilencio 550という形で固定化されてしまった。

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以上が過去から現在の筆者のPCケース遍歴だ。

PCケースを選ぶのに大事なこと

さて、筆者のPCケースの歴史をひも解いてみると気が付くことがある。PCケースは、ほかのPC自作のパーツと比較して、買い換えの間隔が長いことだ。時代遅れによる性能不足、熱や寿命などに起因するコンデンサの破損での故障など、電子部品を使ったPCパーツは寿命が短く、2年も経たないうちに交換を要することになることもザラだ。しかしPCケースは、電子部品がほとんど使われていないため、一度購入すると実に長く使うことができる。

そんなPCケースだからこそ、長く使うためにはいろいろな要素を考えて納得のいく製品を購入したいところだ。ここではCorsairの製品を例にとって、PCケースにとって重要な製品選びのポイントを考えて行こう。

見た目優先!? デザインは飽きのこないものがよい

PCケースは自作PCの顔でもあり、ケース内に収まっているPCパーツと違っていつも目に入ることになる。こうなると、デザインも結構重要だ。飽きのこないデザイン、愛着のわくデザインなどなど、いろいろと好みはあるだろうが、どちらにしても長く使うのなら自分の気にいるデザインも重要な要素となる。

筆者が自作PCを始めた頃は基本的に「アイボリー」カラーの製品ばかりだった。スチール製のシャーシとサイドパネル。安価に製造するためのプラスチック製フロントパネルやアイボリーに統一された色。これが昔の定番だった。現在では色も含めてさまざまなデザインのケースが販売されているので選びかいがある。予算との兼ね合いもあるが、フロント部分が金属製のほうが高級感があるし、こじんまりとしてかわいらしいデザインの小型ケースもよいだろう。もちろん小型ケースの場合には、マザーボードのフォームファクターに影響が出て、ATXは搭載不可、製品によってはmicroATXでさえも搭載できないMini-ITX専用のものもある。デザイン優先の場合にはこのようなデメリットもあるが、それに合わせてマザーボードを選択するというのもありだろう。ただし、この場合には高性能なビデオカードの搭載などはあきらめなければならないことが多いので注意が必要だ。

CorsairのPCケースの場合、かわいいといったイメージには合わないが、高級感があって引き締まったデザインの製品が多い。筆者の個人的感想を言えば、どちらかと言うと男性用の硬派なイメージだ。また、サイドパネル部分がアクリル製で、PCパーツが見えるようにデザインされた製品もある。フロントパネル部分に扉を取り付けた製品も多く、そのような製品ではすっきりとしたデザインとなっている。

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冷却と静音のバランスがよいことで人気の高い製品。金属製のフロントカバーや締りのあるブラックを基調とした配色など、飽きのこないデザインだ。
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白を基調とした軟らかでエレガントなデザインのPCケース。アクリル窓の付いたサイドパネルを備え、窓の部分はメッシュ加工された金属製のパネルに交換することもできる。
また、少し変わり種の製品でVengeance C70という製品もある。こちらは軍隊のアモ(弾薬)ケースをモチーフにしたもので、遊び心あふれる作り。電源スイッチなどもなんとなく軍のコンソールっぽいボタンが採用されており、リセットスイッチにいたっては、ミサイル発射ボタンのようなカバー付きだ。アモケースをモチーフにしているため、PCを持ち運ぶための持ち手も付いている。

1番目に入るPCパーツがPCケースということを考えると、このように変わったデザインの製品を選択してみるのも一つの手だろう。

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アモケースを模したユニークなデザインのC70。サイドパネルの開閉機構やスイッチ類に遊び心がちりばめられている。上部に用意された持ち手も、デザインと使い勝手を両立したギミックだ。

冷却志向と静音志向

PCケースの性能としてよく取りざたされるのが、冷却能力と静音性だろう。この二つはPCケースの選定上、もっとも重要なファクターだ。いくらメーカー側で「高い冷却能力と静音性を実現!」とうたっても、その両立はなかなか難しい。基本は大きなケースでエアフローを確保し、静かな低速回転の大型ファンを複数使って排熱を行なうことだ。扉などを使ったり、フロントパネル下部や横に用意したスリットから吸気を行ない、PCケース前面に音が漏れにくくする工夫も有効だろう。

Corsairのケースを例にとると、フロントパネル部分に扉を配置したものが見られる。Obsidian 550DやCarbide 330Rなどで見られるこのような扉は、フロント側への騒音の漏れを防ぐ効果が高い。また、サイドパネルやトップなど、吸気や排気に用意されたファン用のマウントなどをふさぐことのできるカバーが用意されている製品もある。この場合は、ファンを取り付けるときにはカバーを外して使用できるし、静音性重視にしたい場合には、ファンを取り付けずにカバーを締めてしまうことができるため、用途やユーザーの要望に合わせてカスタマイズが可能だ。

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扉を付けて、騒音を低減①
Carbide 330Rには、パーツの付け換えで左右どちらでも開くことができる扉が採用されており、フロントパネル側に出る騒音を低減している。
扉を付けて、騒音を低減②
Obsidian 550Dの扉はCarbide 330Rと違い、パーツの付け換えを行なわなくても左右どちらにも開くことができる。
トップのカバー
Carbide 330Rの天板のファンマウントにはカバーが用意されているため、ファンを取り付けないのなら閉じて騒音を低減することができる。
サイドパネルのカバー
Obsidian 550Dのサイドパネル。天板だけでなく、サイドパネル部分のファンマウントにもカバーが用意されており、サイドパネルにファンを取り付けないのなら閉じることもできる。
標準で取り付けられているファンの数や個数、追加・換装が行なえるファンの数も重要だろう。大口径のファンなら、回転数を抑えても送風能力が高いため、小さな騒音で運用することが可能になる。逆に、小型のPCケースでは仕方ないが、小さなファンを搭載することになる。小口径のファンは回転数が高くなりがちなため、静音重視の場合は致命的な問題となることがある。取り付けられるファンの数も、多ければ効率よく冷却することができるし、標準で用意されているファンの数が多ければ、買い足しでコストがかかるデメリットも払しょくされる。PCケースを購入する際にはかなり重要なチェックポイントだ。

PCケースには、冷却重視か静音重視かの指向性がある程度あることを認識しておきたい。ファンの増設やカバーなど、カスタマイズである程度コントロールできる製品もあるが、両方備えたケースはサイズが大きくなるというデメリットもあるのだ。これらの指向性はトレードオフになることが多く、メリットとデメリットをよく考えて製品を選びたい。

大口径のファンを採用
Graphite 600Tには20cm径の大口径ファンが天板とフロントに採用されている。低速で運用可能なので、騒音は少ない。
多数のファンを標準搭載
HDDケージに二つと背面に一つの12cm角ファンが標準で搭載されているVengeance C70。標準で3基のファンが搭載されているだけでなく、最大で11基のファンを利用できるファンマウントを持つ。
また、冷却や静音といった観点で考えた場合、簡易水冷クーラーの利用可否もチェックしておいたほうがよいポイントだ。簡易水冷クーラーとは後述の水冷を簡単に利用できるようにしたCPUクーラーだ。

簡易水冷クーラーは、CPUに装着するポンプの内蔵されたヘッド、内部を循環する冷却液(クーラント)と、クーラントを冷却するためのラジエータ、ヘッドとラジエータをつなぐチューブで構成されている。クーラントがヘッドとラジエータの間を循環してCPUの熱をラジエータに移動させる。そして、ラジエータ部分に取り付けられたファンで冷却を行なう仕組だ。これらはあらかじめ組み立てられた状態でユーザーに提供され、クーラントも内蔵しているため、CPU部分にヘッドを固定し、ラジエータをファンごとPCケースに取り付ければ簡単に高い冷却効果を得ることができる。また、既成品なので、ミスで水漏れなどのトラブルが発生しづらいのも特徴だろう。

この簡易水冷クーラーを使う場合に問題になるのが、ファンを取り付けたラジエータをPCケースに固定する場所だ。簡易水冷クーラーは、ラジエータ部が12cm角ファン、または12cm角ファンを二つを取り付けられる12cmサイズか24cmサイズのラジエータが主流。これらの取り付けられるファンマウントがなければ、事実上利用することができない。12cm角ファンのマウントはポピュラーで、ほとんどのケースに取り付けられるが、24cmサイズのファンマウントはここ最近になってスタンダードになりつつあるPCケースのトレンドだ。Corsairでは、この簡易水冷クーラーを商品として扱っているため、早い時期から対応するケースをリリースしている。現在のPCケースのラインナップはすべて24cmサイズのラジエータを取り付けられるようになっていることからも力の入れようがうかがえる。大型ラジエータを使用した簡易水冷クーラーを利用したいなら、ファンマウントのサイズも考慮しておかなければならないポイントだ。

大型ラジエータの取り付け可能
エントリークラスのCarbide 330Rにも用意された、大型ラジエータの取り付け可能な天板。CorsairのPCケースはすべて簡易水冷クーラーの大型ラジエータに対応している。
さらに、水冷の利用を考慮する場合もある。これはマニアックな領域になるが、構成を考えればCPUだけでなくGPUなどの冷却も可能だ。高価で複雑、その上組み立てを失敗すればPC内部でのクーラント漏洩、最悪の場合PCの故障と言った致命的な問題が発生する。このため、上級者向けの手を出しづらい領域ではあるが、CPUだけでなくGPUなども冷却可能で、排熱はケース外で行なうことができる特徴を持っている。冷却効果、静音性も抜群だ。通常、このような水冷を用いる場合には、ラジエータをPCケース外部に置くことが多い。そうなるとクーラントをケース外に出すチューブが必要になる。PCI Expressなどの拡張スロットにチューブを通すのもありだが、見た目にこだわるなら水冷用チューブの穴も欲しくなる。このチューブホールが付いているかどうかも、水冷を行ない、なおかつデザインも気にするユーザーなら重要だろう。

水冷用のチューブホール
Carbide 330Rには、自分でネジ切って穴をあけるタイプのチューブホールが用意されている。このような製品の場合、切り取った後のバリに注意したい。
ゴムカバー付きのチューブホール
水冷などで利用できるゴムカバー付きのチューブホール。Graphite 600Tのホールにはゴムカバーが付いているため、チューブを傷付ける心配がない。

対応フォームファクターに気を付けろ!

現在主流のマザーボードには、大きく分けて三つのフォームファクターがある。ATXとATXを一回り小ぶりにしたmicroATX、さらに小さなMini-ITXだ。拡張性を重視するならATX、ビデオカードくらいは使いたいというならmicroATX、とにかく小さな自作PCを作りたいというならMini-ITXがよいだろう。もちろん、将来的な拡張に備えたいというのなら、最初はビデオカードしか搭載する予定がなくてもATXを選んでおくべきだし、Mini-ITXよりも小型のNUC(UCFF)と呼ばれるフォームファクターなども存在する。

PCケースを選ぶ場合には、自分の使いたいマザーボードのフォームファクターが、ケースに適合しているかどうかを調べておかなくてはならない。ちなみに、ATXは、microATX、Mini-ITXの上位互換となるため、ATXに対応したPCケースなら、microATXやMini-ITXのマザーボードを搭載することもできる。

ここまでならだいたいのPC自作ユーザーなら知っていることだろうが、ATXよりも少し大きなマザーボードも存在する。通常ならサーバーのラックマウント用に使われるフォームファクター。ExtendedATXや、SSI CEBなどがそれだ。これらの規格は基本的にATXマザーボードと同じ位置にPCケースのマザーボードベースの取り付け用ネジ穴が来るようになっているため、ケース内が広い製品で対応している場合がある。一般的に販売されているマザーボードとしては、ゲーマー向けの高機能なものがこの大きなフォームファクターに対応している場合が多い。しかし、実際には、ATXよりも少し大きなマザーボードと言うだけで、ExtendedATXやSSI CEBの規格の最大サイズ(Axtended ATXは305×330mm、SSI CEBも同じく305×330mm)のものは、ほとんどないと言ってよいだろう。

今回、リンクスインターナショナル様から預かったPCケースでは、Carbide 330RがこのAxtended ATXに条件付きで対応しており、そのサイズは304.8×266.7mmまでとなっている。実際は、大きめのサイズのPCケースは、ATX対応までしかうたっていなくても、上記のような通常のATXよりも少し大きい程度のマザーボードなら搭載できることが多い(裏面配線用の穴をふさいでしまうこともある)。ただし、本当にATXのマザーボードがぎりぎりの搭載可能サイズになっている製品があり、ちょっとでも大きいとマザーボードベースにマザーボードを取り付けられないことがあるため注意が必要だ。

このようなマザーボードのフォームファクターに関しても、購入前に確認しておく必要があるだろう。

大きなサイズのマザーボード
ExtendedATXフォームファクターのマザーボード。大きさは、304.8x263.5mm。写真のPCケースはCarbide 300R。裏面配線用のケーブルホールが一部隠れてしまっている。

昨今のPCケースのトレンド、裏面配線と穴あきマザーボードベース

ここ数年のPCケースのトレンドの一つとして挙げられるのが、裏面配線だ。以前から大きめのPCケースでは、裏面配線に対応しているものが多かったが、最近ではかなり小型の製品でも裏面配線を採用する製品が増えてきた。

裏面配線とは、読んで字のごとく、配線をマザーボードの裏面で行なうことだ。PCケースの横幅が少し大きめな必要はあるが、マザーボードベースをそのままサイドパネルとするケースがないため、もともとマザーボードベースとサイドパネルの間には隙間がある。この隙間を配線用に利用しているのだ。もちろん、裏面配線を利用するためには、裏面に配線するケーブルを持っていくためのケーブルホールが必要となる。これが、裏面配線に必要な装備だ。

裏面配線の一番のメリットはジャマなケーブルをマザーボードの背面に持っていくことによって、PCケースの内部をすっきりとさせる効果がある。PCケース内部がすっきりすれば、パーツの増設やメンテナンスが行ないやすい。また、大きな効果が得られるわけではないが、ケースの内部がケーブルでごちゃごちゃしているよりも、エアフローがコントロールしやすくなる。オーソドックスな前面下部からの吸気、背面上部への排気でPCケース内の排熱をスムーズに行なうことができるようになる。

さらに穴あきマザーボードベースも最近のPCケースではよく見られるようになってきた。これは、マザーボードをPCケースにセットしたとき、CPUの裏側が見えるようになっている構造だ。この穴があると、冷却効果の高いサードパーティ製のCPUクーラーを利用しやすくなる。

どういうことかと言うと、冷却効果の高いCPUクーラーは、マザーボードの背面にバックプレートと呼ばれる板を取り付けるものが多い。CPUクーラーをマザーボードの表側からバックプレートにネジで取り付けることによって、CPUとCPUクーラーの接触面の熱伝導率を高めるのだ。

これらのバックプレートを利用するCPUクーラーは、クーラーの取り付けや取り外しの際にマザーボードをPCケースから取り出さないとならなくなる。これを回避するのが、マザーボードベースの穴だ。この穴があいていれば、マザーボードの裏面にあたるサイドカバーを開けるとCPUの裏側にあるバックプレートにアクセスできるようになる。つまり、マザーボードをPCケースから外さずに、CPUクーラーを取り外すことができる。

バックプレートを採用するCPUクーラーを利用する予定がある人には、必須の機能と言ってよいだろう。

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裏面配線用に多数のケーブルホールとマザーボード裏側に用意された穴あきマザーボードベース。ケース内のメンテナンスを行ないやすくするギミックだ。

搭載できるストレージの数とビデオカード長

PCケースは大きければ大きいほど、自作ユーザーにとって見ると利点が多いが、やはりコンパクトなほうが、実際の運用時には助かることが多い。筆者としては、テーブルほどの高さのある大きなケースなら、天板が平らな製品を選んでサイドテーブルにしてしまうやり方もあると思う。もちろん、ファンマウントなど、空気のとおり道はふさがないようにしなければならないが、昔はよくこのようなことを考えていた。ただし、この際に液体の入ったコップなどを置くのはやめておいたほうがよい。なぜかは言うまでもないだろう。PCケースのテーブルとしての利用は自己責任でお願いしたい。

さて、冗談はともかく、PCケースはコンパクトであるほど置き場所に困らないものの、搭載できるPCパーツの制限が出てくることが多い。コンパクトケースのツケが最初に出てくるのがベイの数だ。5インチベイ、3.5インチベイ、3.5インチシャドーベイ、さらには最近のPCケースとしては必須となりつつある2.5インチシャドーベイ。これらのベイの数はPCケースのサイズとレイアウトによって決まる。昨今のPCケースでは、FDDの需要が低下したため、3.5インチオープンベイを搭載しない製品も多くなった。CorsairのPCケースでも、3.5インチオープンベイを搭載する製品はラインナップされていない。そのようなPCケースの場合には、FDDが必要であれば5インチオープンベイを3.5インチオープンベイに変換するアダプタとベゼルを別途用意する必要がある。

最近のPCのトレンドを考えると、システムドライブをSSDにして、3.5インチのHDDをデータ用のドライブにするという使い方が増えている。そのような状況から、PCケースへの2.5インチドライブの搭載場所は必須になってきた。その需要の変化に合わせ、2.5インチ専用のベイを搭載する製品も増えている。だが、現在のところは3.5インチと2.5インチの両対応のシャドーベイが多いようだ。

SSDの大容量化はこれからもどんどん進んでいき、技術の進歩により低価格化も進んでいくだろう。近い将来HDDは駆逐され、ストレージはSSDに絞られていくかもしれない。しかし、まだまだデータの記録場所はHDDが主流であることも確かだ。低コストでPCを運用するためにSSDキャッシュと言う技術もある。HDDを搭載する3.5インチシャドーベイも現在のところは必須のものだ。

一般的なPCケースではストレージを搭載するための3.5インチシャドーベイは3~6ほど。多い製品ではもっとたくさん搭載が可能なものもある。Serial ATAカードを使ったRAID 5などを考えているのなら、最低でも三つ、できれば四つ以上のストレージ格納エリアがあったほうがよいだろう。

5インチベイの数に関しては、使用するユーザーしだいだ。一般的には光学ドライブを1基搭載すればすむので、5インチベイは一つあればよいという考え方もあるだろう。しかし、ファンの回転数調整ができるものやUSBやIEEE1394、eSATAなどのインターフェースを追加するベイアイテムなどを使いたい人もいるだろう。そのような場合には5インチベイが複数用意された製品にしておいたほうがよい。

大きなケースのベイ
Obsidian 750Dには、三つの3.5インチストレージが搭載可能なケージが二つと、2.5インチストレージの専用スペースである2.5インチシャドーベイが四つ用意されている。また、5インチベイは三つ。当然だが、大きなPCケースにはたくさんのベイが用意されており、ストレージやベイアイテムを多数装着可能だ。

また、ストレージの搭載可能基数の話と少しかかわってくるのが拡張カードの長さの問題だ。よくあるのがハイエンドビデオカードを購入したが、ケースに収めることができなかったという話。ハイエンドビデオカードは製品によっては20cmを軽く超えることが多く、ものによっては30cm近くの製品もある。また、規格上ではフルサイズと言われる拡張カードの長さが312mmと規定されている。これはフルサイズやフルレングスと呼ばれる長さの拡張カードだ。こうなるとマザーボードのサイズよりも横にはみ出すことになり、ケースによってはシャーシなどが干渉して取り付けができないことがある。そのときによく干渉するのが、3.5インチシャドーベイだ。

かなり大きめのPCケースならそのままでも問題ないことが多いが、コンパクトに設計されている場合は3.5インチシャドーベイが干渉しないように、シャドーベイの部分をケージユニットとして取り付けてあり、そのケージを外すことができるものも多くある。ハイエンドのビデオカードを使いたい場合には、そのまま搭載できる拡張カードの長さと、あまり長い製品が搭載できない製品の場合には、3.5インチシャドーベイが取り外せるか同課を確認するようにしておこう。

取り外し可能な3.5インチのケージ
3.5インチシャドーベイが三つ用意されたケージの一つを外せば、長いハイエンドビデオカードでも楽々搭載することが可能になる。写真は、Obsidian 550D

そのほかにもいろいろ。PCケースメーカーが提案する便利な機能

最後になるが、性能や使い勝手をよくするための便利な機能について考えて行こう。
 Corsairのケースでよく見られるのが、清掃が可能なダストフィルタだ。主にフロントパネルなどに搭載されるギミックだが、ファンの吸入口などに付いたフィルタで、内部に入るホコリを低減する。ケース内に流入するホコリが減少するため、PCを構成するパーツにホコリが付きにくくなる。冷却能力の低下も抑えることができ、故障率も下がるという効果が望める。

フロントパネルのダストフィルタ
ダストフィルタが用意されていると、冷却の効果が持続することが期待できる。フィルタは簡単に取り外せるので、清掃が簡単だ。写真はObsidian 750D。
性能ではなく使い勝手に影響するのがフロントインターフェースだ。ほとんどのPCケースには電源ボタンとリセットボタンのほか、電源ランプとストレージのアクセスランプが用意されている。また、オーディオ機能をバックパネルにアクセスしなくても利用できる、ヘッドホンやマイク端子も搭載しているのが通常だ。

フロントインターフェースに用意されたポートの豊富さも使い勝手に影響する。一番よく使うのが、USBポートだろう。最近ではUSB 3.0がマザーボードに標準搭載されているため、USB 2.0だけでなくUSB 3.0も使えるかどうかが重要になってきた。最新の製品では、ほとんどがUSB 3.0に対応しているが、少し前のPCケースではUSB 2.0しか対応していない製品もあるため気を付けたいところ。また、ファンコントローラ、IEEE1394やeSATAのポートなど、さまざまなフロントインターフェースを持っているPCケースもある。なかには3.5インチや2.5インチのホットプラグのベイを備えた製品もあり、大容量のデータを扱うことが多いユーザーにとってはうれしいギミックだ。これらの外部インターフェース機能の充実度も製品選びの参考にするとよいかもしれない。

フロントインターフェース
Graphite 600Tのフロントインターフェース。多数のUSB端子のほか、オーディオ端子などスタンダードなものだけでなく、IEEE1394やファンコントローラまで用意されている。
また、最近のケースではツールレス構造のものが多くなってきている。すべてにおいてツールレスというわけではないが、サイドパネルの固定は手回しネジで行なわれている製品が多く、ドライバーを使わなくてもケースをあけることができる。一歩進んだ形で、押しボタン式や、それ以外のなんらかの方法でサイドパネルを開けられるようにしている製品もある。

5インチベイや3.5インチベイもツールレスの製品が増えてきた。レールや固定器具などを使いベイに装着する光学ドライブやHDDを取り付ける。2.5インチ兼用の3.5インチベイなどは、3.5インチドライブを取り付ける際にはツールレスだが、2.5インチドライブを装着する際にはネジ止めしなくてはならない製品もある。このため、ちょっと高価なPCケースでは、2.5インチ専用のシャドーベイを備え、ツールレス機構になっているものも増えてきた。

冷却能力や静音性など、基本的な部分は当然として、それ以外の機能に目を向けてみるのも、長い間利用できるPCケースを選ぶ上のポイントとなるだろう。

ツールレス機構の5インチベイ
ツールレス構造の5インチベイ。フロントパネル側のカバーを外して光学ドライブを差し込みロックをすれば、ネジを使わなくても5インチベイに設置したものを固定できる。
サイドパネル
Graphite 600Tのサイドパネルは、サイドパネル上部の二つの黒い部分に指をかけ、下に押し下げると外すことができる。
3.5インチシャドーベイ
Obsidian 550Dの3.5インチシャドーベイは、ストレージをはめ込むだけの簡単構造。2.5インチベイは用意されていないので、SSDなどはネジ止めする必要がある。

PCケース選びのポイントをまとめてみよう

では、今回の記事の締めとして、PCケース選びのポイントをまとめてみよう。

・見た目に飽きのこない、自分好みのデザインの製品を選ぶ
・冷却能力と静音性のバランスを考慮する
・簡易水冷を行ないたいなら簡易水冷取り付け用のファンマウントがあるかをチェック
・水冷を行なうなら、チューブ用のホールがあったほうがよい
・搭載するマザーボードや今後利用しそうなマザーボードのフォームファクターに注意
・裏面配線ができるケースはメンテナンスがしやすい
・サードパーティ製のCPUクーラーを利用するなら穴あきマザーボードベースがあると便利
・搭載できるストレージやオープンベイの数は用途に合っているかを確認
・ハイエンドビデオカードなどのカード長が長い拡張カードを利用するなら、搭載できるカードの長さを確認する
・フロントインターフェースやツールレス構造、ダストフィルタなど、おまけ的なギミックがあると便利

以上がPCケースを選ぶ際に気を付けておきたいポイントだ。もちろん、すべてを満たすPCケースはなかなかないかもしれない。あったとしても高価な可能性もある。経済面も含め、自分のお財布と相談しながら自分にピッタリのPCケースを探すこと。それが、長く付き合うことになるPCケースを選ぶ際のポイントだ。

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ライター:山本倫弘
1973年静岡生まれ。システム開発会社に入社し、プログラマー、システムエンジニアを経て雑誌編集に。現在はフリーライターとして独立。雑誌や書籍、WebといったPC系媒体を中心に、編集、Webデザイン、プログラム、SEをマルチにこなす。主な著書に『[高速&安全] RAIDの仕組み・設定・カスタマイズ』(技術評論社)などがある。

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PCケースはこう選べ! できるケースはココが違う!?
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